しっかり寝ているのに、昼間眠くなって仕事に集中できない、また栄養に気をつけて毎日食事をしているのに体が重い、そんなことが続くと何か病気にかかっているのかと心配になりますね。
実はこのすっきりしない感覚は、体内時計の影響から来ているということをご存じでしょうか?
私たちの体には、体内時計があり、夜眠くなり、朝目が覚めるといった生活リズムに関わっています。
ただそのリズムが何らかの原因で狂ってしまうと、しっかり寝ても寝不足を感じる、また体調がすっきりしないといった不調につながってしまいます。
体内時計は人間の体に備わっている機能ですが、それを支えるのは生活リズムという食事や入浴といった日常生活であり、生活リズムを整え、さらに体内時計を毎日リセットすることで、体の不調が改善されます。
そこで今回は、体内時計のリセット方法と共に、生活リズムを改善する方法についてお伝えします。
体内時計の働きとは?
私たちは朝起きると、そのまま日中は活動し、夜暗くなると眠るという生活を繰り返しています。
この生活リズムを支えているのが体内時計、正式には「概日リズム」と呼ばれているもので、私たち人間を含め地球上にいるすべての生物や植物の体に存在しています。
正確には、時計遺伝子という遺伝子が細胞の中にあり、それをまとめるのが脳の視床下部にある視交叉上核に存在している中枢時計遺伝子です。
この概日リズムは地球の自転と同じ24時間周期で、睡眠と覚醒に大きく関わっています。
体内時計と睡眠と覚醒の3ステップ
①脳の視交叉上核が網膜から届いた太陽の光で刺激される
②視交叉上核から指令が出てセロトニンが分泌されて覚醒する
③セロトニンが分泌された後、約14時間から16時間後に、睡眠ホルモンのメラトニンが分泌される
視交叉上核は単体でリズムを作っていますが、この概日リズムには個人差があり、24時間10分から、長い方の場合には24時間30分という長さのこともあります。
ただし視交叉上核は目から近い場所にあるために、光の刺激を受けやすく、生活リズムが整っていればほぼ同じ感覚で光の刺激を受け、時計がリセットされます。
そのため、誰もが時計に合わせた24時間の生活を送ることができるようになっているのです。
ただし現代では、電気のおかげで夜も明るく過ごすことができるようになっているため、この概日リズムのリセットが上手くいかなくなっています。
まず生活リズムを整え、朝起きて夜寝る習慣をつけることから始めてみましょう。
生活リズムと体内時計の関係
概日リズム、一般的には体内時計といわれる機能は、外部からの光で調節されていますが、この体内時計を司る視交叉上核から指令を受けて働く子時計が体のあちこちに存在しており、末梢時計とも呼ばれます。
子時計の3つの働き
・自律神経を整える
・心臓の働きを促進させて、血行を促す
・胃や腸の働きを活発化させて、栄養を全身に行き渡らせる
子時計は親時計の指令を受けて、「朝が来た」ことを関知しますが、食事をしてカロリーを摂取し、運動してカロリーを消費することでも、今が活動する時間であると関知してリズムを整えようとする働きがあります。
つまり夜食事をすると太りやすくなるのは、夜は細胞が活動しない時間であるため、栄養を吸収する働きが十分ではなく、過剰な栄養分となり脂肪になってしまうのが原因です。
体内時計をリセットし、体の中の時計が正常に動くためにも、まず毎日の生活リズムを整えて、活動に合わせた食事を心掛けるようにしましょう。
体内時計が狂う原因とそれに伴う影響
体内時計が狂う原因には、2つあります。
体内時計を狂わせる2つの原因
光の刺激
日光に含まれる青い波長の光は、携帯やスマホ、パソコンのモニターなどにも含まれるため、寝る前にこれらの光を見ていると脳が刺激されてしまいます。
太陽の光を浴びない
部屋の中にいても太陽の光は入ってきますが、窓越しの光は弱いため体内時計をリセットするには十分ではありません。
さらに朝食を食べないことで、胃や腸に刺激がなくなること、また夜の活動しない時間に食事を摂るといった習慣も、体内時計を狂わせる原因となります。
これに加え、疲労やストレスによって自律神経が乱れると、血圧を上昇させるアドレナリンが過剰分泌されて眠れなくなるという悪循環に陥り、これも体内時計を狂わせます。
体内時計が狂うことで起きる3つの不調
睡眠障害
概日リズム障害という睡眠障害が起こります。社会的に必要な時間、また自分が起きようとする時間に起きることができない、また睡眠を取ることができないために、日常生活に支障をきたす病気です。
細胞の老化
細胞の活動も体内時計によって制御されているため、リズムが狂うと新陳代謝が正常に働かなくなり、老廃物が排出されなくなるため、肌荒れや便秘の原因となります。
抵抗力や免疫力の低下
睡眠中に分泌される成長ホルモンが減少するため、細胞の修復ができなくなります。さらに休息すべき時間帯に休息ができないため、体の抵抗力や免疫力が低下します。
こういった状態が続くと、生活習慣病やガンのリスクも高まってしまいます。
まず体内時計をリセットするために、睡眠について改善していきましょう。
体内時計のリセットと睡眠の関係
体内時計をリセットするのは、強い光です。
ただし夜の電灯やスマホやパソコンの光も、体内時計を狂わせる大きな原因となるため、体内時計をリセットするためには睡眠を整えることも必要となります。
体内時計をリセットするために行いたい3つの睡眠のポイント
決まった時間に寝る、起きる
毎日同じ時間に起きる、寝るのリズムを体に覚え込ませるようにしましょう。
そうすることで覚醒ホルモンのセロトニンと睡眠ホルモンメラトニンの分泌が正常に行われるようになります。
寝る前にはスマホやパソコンを見ないようにする
目への刺激を少なくすることで、交感神経を刺激させず、スムーズに眠りにつくことができます。
入浴の時間を一定にする
副交感神経を刺激してリラックス状態にしてくれる入浴の時間を一定にすることも、睡眠のリズムを整えるために有効です。
ただしきちんと寝なくてはいけないと思うあまりに、かえって上手く眠れなくなり、不眠の状態になって体内時計が乱れることもあります。
この「寝なくてはいけない」という思いを改善するために、病院では認知行動療法という治療方法が行われます。
仕事で時間が不規則な生活や、夜勤が多く上手く夜が眠れない場合には、無理をせず病院での治療を受けるようにしましょう。
体内時計と生活リズムを改善する方法
体内時計をリセットに、生活リズムを整えるためには、睡眠だけでなく食事や運動も必要です。
生活リズムを整えるために日常生活で心掛けたい3つのポイント
体の疲れをリセットする
眠りの状態に導くために、副交感神経を優位にする方法として、入浴以外に運動の習慣も挙げられます。
ヨガやストレッチに使うストレッチポールには、体を伸ばして筋肉の緊張を和らげてくれる効果があり、筋肉に力を入れて緩めるリラックス方法である筋弛緩法に活用できます。
朝食は朝起きてから1時間以内に
光の刺激を受けてリセットされる体内時計の親時計と違い、子時計は親時計からの指令を受けるため、どうしてもずれが生じます。
このずれを最小限に抑えるためにも、朝食は起床してから時間をおかないようにしましょう。
また昼食や夕食の時間を一定にすることも、体内時計に影響を与えます。
ビタミンB12を摂取する
ビタミンB12には、光に対する感受性を良くする効果があり、イライラやストレスを抑える効果もあります。
しじみなどの貝類、魚類、さらに肉のレバーにも豊富に含まれていますので、毎日の食事に取り入れるようにしましょう。
また天気が悪い日や冬など、日光がしっかり浴びられない日が続く場合は、医療機関でも使われているブライトライトを使用して、体内時計をリセットするようにしましょう。
まとめ
体内時計は人間が生きていくために必要な機能の一つであり、きちんとリセットされないままでいると、体のあちこちに不調をもたらします。
体内時計は睡眠だけでなく、体のすべての機能に影響をもたらしているため、毎日リセットすることが必要なのです。
そのために睡眠を確保することだけでなく、眠りやすい環境や生活習慣を送ることも大切です。
免疫力を高め健康な生活を送るためにも、生活リズムを整え、体内時計が正常に活動できるようにしましょう。
感謝をこめて。
記事のポイントまとめ
・体内時計には中枢時計遺伝子を持つ親時計と体の機能に関わる子時計がある
・体内時計が狂うと細胞の老化や免疫力の低下を招く
・睡眠のリズムや環境を整えることが体内時計を正常に動かす
・疲労をリセットし食事の時間を決めることで体内時計を正常に動かすことにつながる