若い時には少し無理をしても、すぐに元気になれていたのに、最近はなかなか疲れが取れない、次の日も疲れが残っている気がするということはありませんか。
実は、疲労の状態は単に肉体的・精神的な疲れであるということだけでなく、体が限界に来ていることのサインだということをご存じでしょうか?
体が健康な状態であれば、休息し睡眠を取ればほとんどの疲労はすぐに回復します。
きちんと体を休めているにもかかわらず疲れが取れないのは、疲労が慢性化していて回復が間に合っていないためです。
そのまま放置していると、重大な病気の原因にもつながりかねません。
そこで今回は、その日の疲れをその日に取るために寝る前にしたい習慣についてお伝えします。
疲労が起きる原因とその症状
疲労とは、発熱や痛みと共に体が発信している警報装置、生体アラームの一つで、疲労によって体の機能が低下していることを脳に伝えている状態です。
疲労には大きく分けて、身体的な疲労と精神的な疲労があります。
身体的な疲労による体への4つの影響
・肩こりや腰痛
・頭痛
・眼精疲労
・日中の眠気
精神的な疲労による体への4つの影響
・集中できない
・イライラが募る
・食欲がない、何を食べても美味しいと感じない
・不安になる
この他、夜寝ていてもすぐ目が覚める、なかなか眠れないといった症状も疲労によるものです。
実はこの肉体的な疲労と精神的な疲労は、どちらも体内の活性酸素の増加、そしてセロトニンの働きが低下することによって起こります。
疲労を招く2つの原因
活性酸素の増加によるもの
活性酸素は、呼吸で体内に取り入れられた酸素でエネルギーを作る際に、エネルギーと同時に発生します。通常であれば体内で抗酸化のシステムが働き、分解されますが、ストレスや激しい運動などによってエネルギーが大量に必要となると、活性酸素も大量に発生し、分解が追いつかなくなります。
その余剰な活性酸素が細胞を攻撃し、酸化させて働きを鈍くするため、細胞は脳に助けを求める信号を出します。これが疲労というサインなのです。
セロトニンの働きの低下によるもの
神経伝達物質のセロトニンは、腸と血液、そして脳に分布していますが、脳にあるセロトニンは自律神経である交感神経と連動し、体内時計の調節を行い、感情のコントロールをする他に、記憶や学習する働きに関わっています。
しかし睡眠不足やストレス、日光不足などでセロトニンが作られなくなると、疲れやすくなるだけでなく、ストレスに耐えきれず集中力の低下や不眠の症状を引き起こします。
セロトニンは規則正しい生活を送っていれば活性化され、不足することはありません。
ただ現代ではライフスタイルが変わり、睡眠時間の減少や運動不足、日光不足に加え、様々なストレスにさらされることが増えたことから、セロトニンが不足する傾向にあります。
さらに腸内環境が悪化すると、脳にあるセロトニンを活性化するために必要な栄養が吸収されず、届かなくなってしまうため、これもセロトニンの働きを低下させてしまいます。
疲労を回復するためには、体内の活性酸素を減らし、セロトニンを活性化させるために生活リズムを整えるようにしましょう。
疲労を伴う病気とは?
疲れがなかなか取れないにも関わらず、そのサインを無視していないでしょうか。
実は、病気が原因で疲労を感じることもあるのです。
疲労感の症状がある5つの病気
貧血
血液中のヘモグロビン濃度が低下した状態で、酸素が不足するために頭痛やめまい、耳鳴りといった症状に加え、疲労感が伴います。
更年期障害
更年期は閉経前後の10年前後のことをいいますが、この時期に女性ホルモンの急激な減少が起きることが原因で、様々な症状が現れます。
体のほてりや大量の汗の他、イライラや不安感、疲労が続くといったことも起きます。
うつ病
うつ病はセロトニン不足も原因の一つと考えられています。うつ病は精神面の症状が取り上げられることが多いのですが、体にも不調の症状が現れます。
良く眠れない、食欲がない、頭痛や肩のこり、便秘や下痢といった症状の他、疲労感が続くのも特徴です。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠中に呼吸が停止するため、睡眠の質が低下します。原因としてはのどや気道が塞がれる場合や呼吸中枢の異常などが考えられますが、なかなか気がつきにくい病気です。
寝ても疲れが取れない、目覚めが悪い、疲労感が続くといった症状があります。
慢性疲労症候群
20代の女性に急増している病気で、慢性的な疲労感と体の痛みといった症状が起きます。
原因が不明なことがほとんどですが、のどやリンパ節の痛み、微熱といった症状に加え、食事や入浴といった日常生活でも疲労を感じるため、生活や仕事にも支障が出ます。
この他、ウイルス性肝炎で、肝臓の働きが低下することでも疲労感が続くことがあります。
6ヶ月以上疲労感が続く場合や、体の痛みや発熱など他の症状を伴う場合は、病院で診察を受けるようにしましょう。
寝る前に行いたい運動による疲労回復方法
疲労を次の日に持ち越さず、その日のうちに解消するためには、運動による回復方法が効果的です。
運動をすると疲労が増してしまいそうなイメージがあるかもしれませんが、運動をしない方が疲労がたまってしまうのです。
運動をして血行を良くすることが、食欲を刺激し、深い眠りにつくことにつながります。
疲労を回復するためには、ウォーキングやジョギングといった有酸素運動や筋トレが有効ですが、運動の習慣があまりない、また時間がないといった場合には、寝る前のストレッチから始めてみましょう。
筋肉をほぐす4つのストレッチ
全身伸ばし
仰向けに横になり、体の力を抜きます。両腕を上に向かって思い切り押します。
同時に足のつま先を下に伸ばします。
片足抱え込み
仰向けに力を抜いて横になります。片足を曲げて膝を両手で持ち、胸の前に引き寄せます。
10秒ほどそのままキープし、反対側の足も同じように行います。
太もも伸ばし
正座をし、片足を前に伸ばします。
そのまま仰向けに上半身を倒します。15秒ほどそのままの姿勢を保ってから、ゆっくり起き上がり、反対側の足も同じように行います。
体を倒せない場合は、肘で体を支えてもかまいません。
足の裏側のばし
膝の裏側を伸ばして、リンパの流れをスムーズにします。
仰向けに寝た状態で、片足を天井に向けてあげ、両手で足首を持って顔の方に引き寄せます。
この時膝は曲げないようにしましょう。
タオルを足の裏に引っかけて、両手でタオルを引っ張る方法もあります。
毎日ストレッチを行うことで、筋肉がほぐれ、リラックス効果も得られます。
また入浴時に足や腕をマッサージし、筋肉を柔らかくすることも疲労回復になります。
ただし、これらのストレッチで肩や腰に痛みを感じる時には、怪我をする可能性がありますので無理をしないよう注意しながら行いましょう。
夕食を工夫して疲労回復する方法
疲労感が続く時には、食欲も落ちてしまいがちです。
そんな時には無理に食べることはありませんが、少しでも食べることで体のリズムが整いますので、疲労回復効果のある栄養素を含む食べ物を食べるようにしましょう。
疲労回復に効果的な3つの栄養素
タンパク質
筋肉の疲労回復に必要なアミノ酸は、タンパク質から作られます。
肉や魚の他、卵や乳製品に含まれています。
ビタミンB
代謝機能に働き、疲労回復の手助けをするビタミンBは、豚肉や卵、乳製品やキノコ類に含まれています。
ビタミンBの吸収には、にんにくやニラに含まれるアリシンが効果的に働くので、一緒に料理をするのがおすすめです。
ブドウ糖
脳の働きに必要な栄養素です。頭を使った時などの疲労回復に役立ちます。
炭水化物の米やパン、麺類の他、糖分を含むチョコレートなどにも多く含まれています。
栄養バランスの取れた食事をするのが理想的ですが、忙しくて難しい人の場合は、サプリで補う方法もあります。
ブドウ糖から作られるクエン酸は、疲労が重なると体内でなかなか作り出されなくなり、その量が不足しがちなので、レモンや梅干しを食べることができない場合はサプリで補うようにしましょう。
睡眠を改善して疲労回復する方法
疲労を回復するために、最も有効な方法は質の良い睡眠を取ることです。
質の良い睡眠を取ることは、睡眠の時間ではなく、深い眠りにつくことが必要となります。
質の良い睡眠を取り、朝すっきりと目覚めるためにも、寝る前の準備をしっかりしておきましょう。
質の良い睡眠を取るための5つのポイント
・寝る前のお酒、カフェインは控える
・食事は寝る3時間前には終える
・入浴は寝る1時間前までに終わらせておく
・遮光カーテンを使い部屋を暗くする
・寝る前にはテレビやスマホを見ない
また寝る前になると、その日あったことを色々思い出して眠れないという悩みを持つ方もいます。
その場合は、瞑想をして心を落ち着ける、日記に書き出して頭から余計な情報を追い出すといった方法や、安眠のためにツボ押しをする方法もあります。
頭のてっぺんにある百会や、手の親指と人差し指の骨が交差する少し下にある合谷は、自律神経を整え、リラックス効果をもたらしてくれます。
短くてもしっかり睡眠を取ることで、疲労を溜め込まず、その日のうちに取り除くことができますので、睡眠や食事、運動を毎日の習慣にして、疲労を予防しましょう。
まとめ
疲労を回復するためには、疲れを溜め込んだ筋肉をほぐし、さらに回復させる栄養素をしっかりと取り込むことも必要ですが、お茶や酢の入ったビネガードリンクで、水分補給も行いましょう。
疲労で筋肉が硬くなると、血管も硬くなるため、血行が悪くなります。
水分を補給することで、血液もスムーズに流れるようになりますので、疲れを感じた時には食べ物だけでなく、水分もしっかり摂るようにしましょう。
感謝をこめて。
記事のポイントまとめ
・更年期障害やうつ病や貧血の症状に疲労感がある
・疲労感が6ヶ月以上続く場合は慢性疲労症候群などの病気の可能性がある
・疲労を回復するために寝る前に体の筋肉を伸ばすストレッチを行う
・疲労を回復するために必要なタンパク質とビタミンBとブドウ糖を食事で補う
・疲労を回復するためには短くても質の良い睡眠が必要