風邪を引きそうだな、と感じた時、体全体が冷たくなるような経験をしたことはありませんか。
また風邪を引いた時には体を温めなさい、ということも病院でよく言われます。
この体温は、私たちの体に備わっている免疫力と大きく関わっていることをご存じでしょうか?
もちろん単に体を温めたとしても、それは短期的なものであることが多く、免疫力を高めるには十分ではありません。
それでも毎日健康に過ごすために、加齢で下がりがちな体温をきちんと自分で管理することが必要です。
そこで今回は、免疫力と体温の関係、体温を管理することでどのようなメリットがあるのかをお伝えします。
体温を上げると免疫力がアップするのは嘘?
免疫とは、人の体に元々備わっているシステムです。
体の中の細胞は毎日分裂、増殖を繰り返していますが、その中で不完全な細胞ができることがあり、これが発達するとがん細胞になります。
ただし健康な体の状態であれば、その細胞はがん細胞になる前に、免疫システムによって排除されます。
さらに菌やウイルスは空気中に浮遊しており、口や鼻などから体の中に侵入してきます。
体に悪影響のある因子を見分け、排除して病気を防ぐのも免疫システムの働きによるものです。
免疫のシステムには、生まれつき体に備わっているもの、生まれた後にかかった病気などによって獲得したものとがあります。
自然免疫
生まれつき持っている免疫は自然免疫で、外敵が皮膚や粘膜から侵入し、炎症が起きるとまず白血球の一種であるマクロファージが、炎症を起こした敵を食べると同時に、T細胞の一つで、これも白血球の一種であるヘルパーT細胞と呼ばれる免疫細胞に指令を出します。
マクロファージでも食べることができない相手に対しては、白血球の中で殺菌作用のある顆粒球の好中球が攻撃を仕掛けます。
彼らは戦った後死んでしまい、その死骸がになります。
獲得免疫
生まれた後に免疫を獲得したのが獲得免疫で、T細胞がこれにあたります。
マクロファージに指令を出されたヘルパーT細胞は、外敵に乗っ取られた細胞を、外敵ごと排除する指令をキラーT細胞に指示します。
同時にリンパ球で抗体を作るB細胞に、侵入した外敵に対する抗体を作らせる指示も出します。
白血球は免疫に関わる細胞ですが、その免疫細胞にも様々な役割ごとに細胞が存在し、細胞以外にも様々な物質が関係しあって免疫に関わっています。
そのため、現代の医学では免疫力という力について、正確なデータを測ることはできないのが現状です。
ただし低体温治療法で体温を下げる治療をおこなった時に、白血球の働きが低下し、感染症が起こりやすいため、免疫力は体温にも関係があるとされています。
免疫力を上げるためには、まず体を冷やさないことを心掛けましょう。
体温と免疫力の関係は西洋医学と東洋医学で違いがある?
西洋医学では、はっきりと免疫力と体温に関係があるというデータはなく、あくまでも可能性の一つとして考えられているだけにすぎません。
ただし東洋医学では、体温が下がるいわゆる「冷え」の状態を重要視しています。
この冷えの状態は、体感的な冷えだけでなく、体内部の器官が冷えて働きが低下することも含まれています。
東洋医学では、体の冷えが新陳代謝を低下させ、体の中のエネルギーが弱っている状態だと考えます。
そのためかぜを引きやすい、疲れやすい、といった症状が出るだけでなく、血の流れが悪くなることで、体だけでなく精神的にもストレスがかかると考え、改善が必要としているのです。
現代人は平熱が昔に比べ低くなっています。
これは食生活の変化や、エアコンによる空調の調節で汗をかきにくい環境が増えてきたことなどが関係しています。
ただしだからといって低体温のままでは、加齢でさらに体温が下がり、免疫の力が弱まっていってしまいます。
東洋医学では、冷えに対する漢方の処方と共に、生活習慣からも改善をすることが必要だとしています。
体温を上げるためにも、まず毎日の生活習慣を見直してみましょう。
体温が下がるのは毎日の生活習慣が原因
低体温になってしまう原因には、毎日の生活習慣も大きく関わっています。
体温を下げる5つの生活習慣
運動不足による筋力量の低下
身体を動かさないでいると、筋肉が衰え、筋肉量が低下します。
そうなると基礎代謝が落ち、摂取した糖質がエネルギーにならないため、脂肪となって体に付いてしまいます。
そのためさらに運動をすることがおっくうになり、血流が悪くなる悪循環に陥ります。
エアコンの利用や冷たい食べ物や飲み物の摂取
体温は自律神経が調節しますが、エアコンで常に最適な温度にされた部屋にいることは、自律神経の働きを低下させます。
さらに冷たい食べ物や飲み物を摂取することは、体をさらに冷やすことにつながります。また糖分の取り過ぎも体を冷やします。
疲労や睡眠不足
疲労や睡眠不足は、積み重なるとストレスとなって体の機能を低下させます。
さらにストレスは交感神経を刺激して、血流を悪くし、さらに冷えを伴って体の熱を下げることにつながります。
入浴方法
夏の暑い日にはシャワーだけで済ませる、忙しいからお風呂には浸からない、そういった生活を送っていると、体温が下がり、代謝も悪くなります。
ただし入浴方法もただ浴槽で浸かればいいというものではなく、熱すぎない38度程度のお湯にしっかり浸かることが必要です。
喫煙や飲酒
喫煙や飲酒も体温を下げる原因となります。煙草に含まれるニコチンは血管を固くし、血流を悪くして冷えを招きます。
飲酒も適量であれば体を温める効果やリラックス効果がありますが、過剰な摂取は肝臓など内臓に負担がかかり、血液の循環が低下してしまいます。
さらに病気を治すために飲む薬も、体温を下げることにつながります。
治療に使われる薬で起きる副作用は、体の体温が下がりすぎることを防ぐ反応です。
病気の予防のためにも、薬に頼るのではなく元々の体の機能を十分に働かせる生活習慣に改めるようにしましょう。
体温が上がることで体に起きるメリットは?
体温を上げることは、免疫力を上げるだけでなく、体の機能を正常に動かすことにつながります。
体温が上がることで体に与える5つのメリット
・基礎代謝が上がり燃費が良くなる
・血行が良くなることで生活習慣病の予防につながる
・腸の働きが良くなり便秘が解消される
・エネルギーが消費され太りにくくなる
・ストレスに強くなる
免疫細胞が活発に動く体温になることで、疲れても回復が早くなり、病気に対しても抵抗力がつきます。
体温が上がり、血液循環が良くなることは、内臓だけでなく脳の働きも促進するため、加齢によって下がってしまう体温を日々管理し、下げないようにしましょう。
普段の生活で体温を上げ免疫力を上げる方法
毎日の生活習慣を改善し、体温を上げて免疫力を付けていきましょう。
体温を上げるためにしたい3つの習慣
運動をする
極端に運動量を上げても、筋肉は付きません。毎日の酸素運動と共に、筋トレを行いましょう。
特に体温を上げるためには、下半身の筋肉を鍛えることが必要なので、スクワットが最適です。
しっかりお風呂に浸かる
38度から39度程度の少し温めのお湯に、15分から20分しっかり肩まで浸かるようにしましょう。
お湯に浸かるだけで1日に付いた汚れはほとんど落ちますし、リラックス効果もあります。
体を温める食事をする
北国で取れる野菜や根菜類は体を温める食材です。
逆に夏野菜は体を冷やす食べ物とされていますが、季節の旬に合わせた食事をすることが体温を一定に保ちます。
さらに筋肉を作るタンパク質もバランス良く食べましょう。コンビニ弁当や食品添加物の多い食事は、回数を減らすよう努力しましょう。
さらに毎日規則正しく過ごすことで、体内時計が安定します。
しっかりと睡眠を取ることは、ストレス解消にもなりますので、朝起きたらしっかり太陽の光を浴びる、そして寝る際には目を刺激するものは見ないようにしましょう。
まとめ
免疫のシステムについては解明されていない部分も多いのですが、免疫細胞を増やすことで病気に対する治療を行うなど、様々な取り組みがされています。
免疫細胞は体温が低くなるとその活動が低下するため、体温を上げることが病気に強い体作りに不可欠だとされています。
ただし現代人の低温下は、環境や生活習慣の変化の影響もあるため、体温を上げるために厚着をする、腹巻きをする、といった過剰な対策は逆効果になることもあります。
食事や運動も、一時的な体温上昇にはつながりますが、大切なのは継続し、日々の体温管理をしっかりとすることです。
平熱については個人差もありますので、自分の平熱を把握した上で、体温を下げない生活を心掛けていきましょう。
感謝をこめて。
記事のポイントまとめ
・東洋医学での体温低下は感覚的な冷えだけでなく内臓の機能低下も含む
・体温を低下させる原因は生活習慣や環境によるもの
・体温を上げることは免疫力を上げる以外にも体に健康のメリットがある
・体温を上げるために運動や入浴や食事に気を遣うことが大切